私たちの体はどのように恒常性を
維持しているのだろうか?

私たちの体は日々栄養を取り込んで消化・吸収・代謝を繰り返しながら活動をしています。当研究室では肝臓や脂肪などのエネルギー代謝組織の糖・脂質代謝や炎症が、糖尿病や非アルコール性脂肪性肝炎等の生活習慣病にどのような影響を与えているのか解析しています。特に近年その生理的役割が注目されているエクソソームという細胞外小胞に着目しています。具体的には、(1)肝臓での糖・脂質代謝の主要制御因子であるPeroxysome proliferator-activated receptor alpha (PPARα)のエクソソーム分泌に関する役割、(2)二本鎖RNA結合タンパク質であるTRBPのエクソソーム内容物の組成変化へ与える役割、(3)生活習慣病の病態の進行に関わるこれらエクソソームの定量的・定性的解析、(4)酸化ストレス応答因子であるNRF2とその下流にあるCARS2などのイオウ代謝酵素がエネルギー代謝組織の恒常性に与える影響、などを解析しています。

糖・脂質代謝と炎症、そして生活習慣病

私たちが食事をして腸から取り込んだ糖・アミノ酸・脂肪酸などの栄養素は肝臓で代謝され、生体で利用しやすい物質に異化されます。異化された物質は肝臓から血液を介して体内の様々な臓器に送られ、エネルギーとして利用されたり、脂肪や肝臓に貯蔵されます。

近年、先進国では糖尿病や非アルコール性脂肪性肝炎、高脂血症といった生活習慣病の患者数の増加が問題となっていますが、これらは上記の代謝機能の破綻、そしてそれに続く炎症によって発症・増悪化することが知られています。私たちはこれらのメカニズムを遺伝子改変マウスや培養細胞株を用いて分子細胞生物学的に明らかにすることを目指しています。

エクソソーム

私たち動物の細胞は直径50〜150ナノメートルのエクソソームという細胞外小胞を分泌していることが知られています。このエクソソームはDNAやRNA、タンパク質、脂質等を内部に含むことが知られていますが、近年肝臓や脂肪組織などのエネルギー代謝組織から分泌されるエクソソームが炎症をはじめとした様々な生体反応に影響を与えることが明らかとなってきました。私たちは生体の代謝におけるこれらエクソソームの役割とその分泌メカニズムを明らかにしたいと思っています。

エクソソームは非常に小さい小胞なので、通常の顕微鏡等では観察することはできません。私たちはゲノム編集技術を使いエクソソームのマーカー遺伝子と共に蛍光色素が発現する遺伝子改変マウスを作製しました。これにより分泌されたエクソソームに加えてその受容細胞までをも追跡し、機能解析することが可能になりました。

ナノトラッキング法によって観測したエクソソーム

エクソソームを可視化して解析する

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